2020.11.09 -DIARY

お気に入りの財布に出会ってから

前回のお話で断捨離することは清々しいということを書きましたが、今回はその逆のお話を書きたいと思います。

僕の財布にはずっと小さな亀が住んでいます。ガラスで作られたその亀は1cmにも満たない大きさで、小銭に混ざってしまえば全く存在感が無くなってしまいます。

この亀と出会ったのは中学生の修学旅行です。京都を班ごとに自由行動をして巡っていた時に、ふとどこかの土産店で店員のおばさんに「この亀を財布に入れておくと運気が上がるよ。」と胡散臭さ全開のセールスを持ちかけらました。その時の僕は、修学旅行ということもあり少し浮き足立って、その場のノリで購入しました。よく修学旅行で木刀を購入する男子がいると揶揄されますが、ほんの少しだけ気持ちが分かった気がしました。大して高くもないし、どうせ気がついた頃には無くなってしまうだろうと、そこまで気に留めていなかったです。

それからはずっと財布に入れて過ごして、気がついたら中学校を卒業して高校生になっていました。進学してもずっと財布は変えずにいたため、当然の如く亀はずっと小銭の中にいます。

そんなある時、財布のジップが壊れてしまい小銭が収納できなくなったのです。これは流石に財布を買おうと、適当に財布を買ってお金とカードを新しい財布に移す作業に取り掛かりました。この瞬間、いつかの京都で購入した亀の存在が頭をよぎり、小銭を漁ると混ざりながらもまだ住み着いていました。この亀をどうするかと思い悩んだ末、とりあえず財布に入れておこうと決断しました。

それから時は経って、高校生活も残り少なくなってきた頃に、これからまた新たな生活が始まるから何となく財布を買おうと考えつきました。どうせ買うなら東京で買いたいと、上野のアメ横に降り立ちました。

雑踏という言葉が似合う商店街は、当時の僕には新鮮で少しテンションが上がっていました。そんな中、適当にブラついているとメインストリートではなく、商店街と商店街の板挟みになった雑居ビル商店街みたいな、一際人通りが少ない場所を見つけました。しばらく歩くと、一つの革製品を取り扱うお店を発見し、入店すると一つの財布に出会いました。

Boldrini Selleriaの折りたたみ式で、その様相はシンプルでカッコいい。もう他の財布が目に入らないほど、一目惚れをしてしまいました。財布の値段を聞いて、少々値が張ると思いつつも、財布でこれ以上の出会いはないと思って即時購入を決意することに。

再びお金とカードを移す作業に取り掛かり、またしても亀の存在を思い出しました。今度はどうするかと思っていましたが、ここまでくると自分で捨てるのも気持ちが悪くなってしまうものです。こうして小さな亀と共に、新しい財布を使い始めていきました。あまりの気に入りぶりように、「この財布を最低でも10年は使おうと思っている。」と友人に自慢気に話すこともありました。

この財布を購入してから3ヶ月ほど経過した時、とあるテレビ番組を拝見しました。その番組というのが、イタリアのフィレンツェでバッグ職人をしている日本人に密着するという企画の番組です。この方は、とにかくこの地域の革にこだわってバッグを作っていらっしゃるため、番組内では所々で革に関する工房が出てきます。初めてモノづくりの本場で作られていくバッグを目にして、とても感激したのを覚えています。

それと同時に、そういえばこの財布もトスカーナで作られたモノだと思いました。上野のアメ横で偶然出会ったこの財布が、こんな素晴らしい場所で作られているのかと改めて財布のカッコよさに気がつきました。

それから月日が経って、この財布を購入してからもうすぐ5年が経とうとしています。相変わらず一目惚れをした財布をお手入れしながら使っています。当然小さな亀も一緒に。この財布から「モノを大切に使う粋な心」を学びました。

10年間という短期間では勿体ないくらい、ずっと使っていくんだろうと思っています。この財布もペラペラになっていくように、僕がヨボヨボのおじいちゃんになってもこの財布と共に生活をしていたいです。

また、「鶴は千年、亀は万年」ということわざのように、亀は長寿の象徴として知られています。京都で出会った亀はもしかすると、いつでも元気にどこへでも連れて行ってくれるかもしれません。

というのも、いつかこの財布の故郷に足を運んで、同じブランドの製品を購入したいという細やかな想いがずっとあります。いつになるか分からないし、どれだけ年齢を重ねるかも分からないです。ただ、その時が来た時には、是非とも財布と亀も一緒に連れていきたいです。

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